2009年8月、小児救急医療ワークショップin北九州にジョイントして設立された『日本子ども虐待研究会』、その第1回目の参加者は80名ほどでした。以降、会を重ねるごとに参加者は増え続け、昨年の香川県で開催された第10回大会では、500名を超える参加がありました。これだけ多くの医療関係者が一堂に会し、子どもの虐待について考え、学び、理解し、何かを発信するということは、とても心強いものです。
香川県での地方開催に引き続き、2019年7月の第11回目の学術集会は、津軽海峡を越え、初めて北海道で開催されます。人口密度が最も低い北海道ですが、その面積は47都道府県ある日本の22%を占めます。来道の際にはそのスケールの大きさを体感されることでしょう。
子どもの虐待に関するニュースは後を絶たず、子ども達の心と体を消耗させ、純粋な気持ち、体力、自尊感情を奪うような環境は、残念ながら無くなろうとしません。外来の診察室、病室のベッドサイド、訪問時に住み慣れた家で、待合室で、リハビリで、時と場所を選ぶことなく、私たち医療関係者は子ども達の困難に出会います。私たちの踏み出す一歩が、子ども達とその家族にとって、一筋の光となることを願っています。今大会のテーマは『かよわくて、きっとつよい~今日の一歩、踏み出す勇気~』です。子どもたちはかよわいけれど、困難に気づき手を差し伸べる大人に出会うまで、つよく生きています。大人たち自身も、一人では何もできず、自らをかよわいと思っているかもしれません。ですが、少しの勇気を胸にその一歩を踏み出せば何かが変わるかもしれません。一人ではかよわくても、つながればきっとつよいのです。皆さんの地域にはどのような人・施設・仕組みがあるでしょうか。もしまだ知らない資源があるならば、医療の方から、地域を知る一歩を踏み出してみませんか。地元でひとりぼっちを感じたことはないでしょうか。たくさんの仲間に会いに来て下さい。一緒に何ができるか考えましょう。かよわくて、きっとつよいは、あなたかもしれません。
美しい自然と旬の膳をたずさえて、北の大地 はこだて で、皆さまをお待ちしております。
2018年11月吉日
第11回 日本子ども虐待医学会学術集会
大会長 石倉亜矢子(函館厚生院 函館中央病院 小児科)